東北大学様導入事例

東北大学
- 大学紹介
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東北大学様は1907年に日本で3番目の帝国大学として創立された歴史のある国立大学です。「研究第一主義」「門戸開放」「実学尊重」の精神を掲げ、多くの指導的人材を輩出し世界的な研究成果を挙げてきました。2024年には「国際卓越研究大学」の唯一の認定候補として選定され、研究環境の充実と優秀な人材の獲得を目指しています。「Impact(未来を変革する社会価値の創造)」「Talent(多彩な才能を開花させ未来を拓く)」「Change(変革と挑戦を加速するガバナンス)」の3つの公約を掲げ、研究者が独立して活動できる研究体制の構築や、企業と連携した共創研究所制度を推進しています。さらに、高等大学院の設置を予定しており、社会ニーズや学術の進化への対応力を高め、学生自らが学びをデザインする分野横断型の挑戦的な学位プログラムを提供し、国際的価値創造を牽引できる人材の育成に努められています。
今回は、情報部 デジタル変革推進課 デジタルイノベーションユニット 栗田様にGAKUEN導入の経緯や取り組み、導入効果についてお伺いしました。GAKUEN RX1.0 Base,入試,教務,就職,Create Report
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シラバス一括印刷,WEB申請
システムリプレースに至った背景・経緯を教えてください。
本学では、学務情報システムをオンプレで利用していました。2020年にはクラウド化されサービスとしての安定性は向上していましたが、OSのサポート期限が迫っていたためシステム更新は絶対の課題になっていました。さらに旧システムには機能維持と改善のため高額な費用がかかっており、初期導入時からカスタマイズ、クラウド化、毎年の保守費用など、多額の費用を投入していました。現行踏襲という形でOSのサポートを延長するだけでは、定期的に行われるはずのエンハンスの恩恵を受けられないことに加え、旧態依然のまま業務の見直しが行われないため、費用を投じてもメリットが少なく執行部からの理解が得られないことが想定されました。
そこで本学はノンカスタマイズ方針のもと、システムリプレースを業務の見直しと最適化を図る機会と捉え、パッケージ導入の検討を進めることとしました。
システム選定の方針やポイントを教えてください。
前提として、システムはカスタマイズしていない状態が最も安定していると考えています。本学ではシステムが最大限安定した環境で業務を実行できるということを主眼に業務の見直しを図りました。これを本学のノンカスタマイズによるパッケージ更新と定めてシステム選定を始めました。
システムの選定にあたっては、まずプロジェクトメンバーを募集し検討チームを発足しました。検討チームの中に「マイスター」と呼ばれる業務精通者を交え、どのような製品があるかを調査し、システムの仕様を確認していきました。そして、本学が必要な要件として66個の項目を策定し、各社のシステムが要件にどれだけ対応可能かを比較しました。
要件には現状課題となっているものや、今後取り入れていきたい機能が盛り込まれました。例を挙げると、マルチデバイス対応を要件に含めることで、Windowsだけではなく様々なデバイスに対応可能としました。また、コロナ禍に学籍異動の申請をオンライン上でできないかという話が持ち上がり、コロナ禍に限らず休退学する学生が窓口に行く心理的負担や経済的負担を軽減したいという意向が強くなったことで学籍異動のワークフロー化を要件に含めることにしました。その他にも、保護者のアカウントが作成できることやカスタマイズに頼ることなく様々な情報を登録できること、帳票を自分たちで編集できること、法令などの変更に応じて随時パッケージがアップデートされるかどうかも重視しヒアリングを行いました。検討の結果、最終的に4社が検討に値すると判断し、その中でもGAKUENは本学の必要とする要件に高い水準で合致しているという結果となりました。
導入決定から稼働を迎えるまでの流れ・進め方ついて教えてください。
2023年4月にプロジェクトチームを立ち上げ、初めに製品概要の説明を受けました。現行の運用と照らし合わせて課題を洗い出し、コード体系が旧システムから引き継げるかを確認しました。データ移行(※1)については、データ量が多かったため過去データを優先して移行し、直前まで更新が必要なデータは本稼働直前に移行する形で対応しました。これにより、すべてのデータを無事に移行することができました。
仮データ移行後は、運用テスト(※2)のためシステムを職員に操作してもらい、移行データの正確性や実際の運用に支障がないかをチェックしました。疑問点や誤りと思われるものは申請フォームから報告してもらい、都度プロジェクトチームとJAST社で協議しながら解消していきました。
また、他システム連携の構築においても従来の課題を解消できるよう連携方法を工夫しました。例えば、学部から大学院に進学した場合は同一アカウントで管理するようにしていました。GAKUENでは生年月日や性別を基にチェックを実施することができるため、誤登録によるインシデントの防止策を講じることができました。実際、稼働後の半年間で2〜3件のエラーが事前チェックで検出できておりインシデント防止に繋がっています。さらに、職員が新しいシステムに慣れるため操作訓練を実施しました。帳票についてはGAKUENの標準機能や独自作成機能を活用し、運用変更も柔軟に対応しながら導入を進めました。以上の段階を経て2024年9月に稼働を迎えました。
プロジェクトを完遂するにあたり、意識した点があります。1つ目は各種会議体において合意を得ながら進めた、つまり外堀を埋めたことです。本学では独自の運用が多く、いかにトップダウンでプロジェクトを進められるかは大きな要因でした。旧システムでは膨大な費用がかかっていたにもかかわらず、導入している機能の8割しか利用できていなかったことを説明し、上長からも提言していただいたことで学内での合意が得られトップダウン的に話を進めることができたと考えています。
2つ目はハレーションコントロールです。現場職員からの反対を完全に防ぐことは難しいため、システム検討に前向きな職員に声をかけ、それぞれの部署で促進役になってもらいました。上述したマイスターや教務系の中堅職員をメンバーとして集め、検討すべきことがあればプロジェクトメンバーとして発言してもらいました。
それでも様々な課題・問題は勃発しますので、最終的には情報システム部門と教務系の両方の知識をもった当部署の努力もプロジェクトを完遂できた要因の1つであったと考えています。
導入の効果・今後の展望を教えてください。
導入後は様々な効果を体感できています。例えば、学生の各種申請において窓口で申請したり郵送したりせずにオンラインで完結できるワークフロー申請の機能や、保護者のアカウントが作成できることで学籍異動をオンライン化できるようになり、保護者自身がUNIVERSAL PASSPORTから学生の成績を直接確認することも可能となる点などです。保護者アカウントの活用はこれからとなりますが、2025年度内の運用開始を目標とし検討を進めています。 |
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他にも、TOEFL ITPスコアやポートフォリオを個別開示できるよう準備を進めています。今までは学生からの要望に応じて開示したり、差し込み機能を活用したメールの一括送信を行っていましたが、UNIVERSAL PASSPORTでは学生ごとに一括で情報を登録する機能があり、学生への誤送信のリスクを低減し、学生が見たい時に個別の値を見られる状態にします。 |
稼働後の半年間だけでも様々な対応をしていただいていますが、国立大学法人、国際卓越研究大学として変化を求められている中で、ぜひ今後もエンハンスの対応をお願いしたいです。旧システムでは全体の8割しか機能を活用できていませんでしたが、GAKUEN、UNIVERSAL PASSPORTは100%活用できるよう、JAST社には引き続き強力なバックアップを期待しています。
最後に、国公立大学の皆様をはじめ私立大学の皆様にも本学の取り組みに続いていただけると、仲間が増え、今後のDX推進においてもより強固な協力体制を築くことができると考えています。導入が決定した際には共にDXを進めていけることを期待しております。
※1 本移行と仮移行の2回に分けてデータ移行を行います。仮移行で事前検証を実施し、本移行時には万全のデータ移行を実現します。
※2 運用検討した内容を基に、円滑な業務運用が可能かを確認します。
【東北大学様の取り組み】
東北大学様では大学DXアライアンスという取り組みをされています。
他の地域や大学の方々とコミュニティサイトでの交流やDX・ソリューションの情報交換を行っていますので
ご興味のある方は下記よりご確認ください。
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