RX GAKUEN

CASE STUDY導入事例

GAKUENシリーズを導入いただいた大学様の声をご紹介しています。

甲南大学様導入事例

学修成果の可視化に関する取り組み事例
~10,000名
学生サービス
教育支援・改善
学修成果の可視化
IR・データ利活用
クラウド・セキュリティ
2022.07.26
甲南大学

甲南大学

大学紹介

 甲南大学様は、1951年開学の総合大学で、現在は8学部14学科5研究科を有する私立大学です。「人格の修養と健康の増進を重んじ、個性を尊重して各人の天賦の特性を啓発する人物教育の率先」、「世界に通用する紳士・淑女たれ」という建学の理念のもと、教養と専門のバランスを大切にしながら人物教育率先の教育をおこない、良質な社会的常識・倫理観・品格を備え、自ら率先して社会に貢献できる専門性を持った人材の養成を掲げられています。

 

 今回は、2018年度から2019年度にかけて、担当として甲南大学教育学習支援センターで導入に関わり、現在、同フロンティア研究推進機構事務室に所属する深堀様が、2019年10月に当社ユーザ会で講演した事例紹介をもとに、一部近年の状況を補記する形で事例をご紹介します。

 


 

 

 導入済みプロダクト

 

  GAKUEN EX1.5 Base, 教務, 就職, 校友会, CreateReport
  UNIVERSAL PASSPORT RX1.0

Base, 教務, シラバス一括印刷, 就職, 学生,

マイステップ, 学修ポートフォリオ, 教室,

授業, 出欠管理, IC出欠連携, スマホ出席,

アプリ

 

導入の目的・経緯を教えてください。

 本学では2020年度の認証評価受審に向け、統一的なカリキュラムマップが整備された2016年度入学生から学修ポートフォリオを導入しました。これは、第3期の認証評価で求められる内部質保証システムの構築において重要な役割を果たす「学習成果の可視化」に対する本学なりの取り組みとして、学長自らが陣頭に立ち、導入を推進、「学修度」という考え方も考案・提唱しました。作成・運用は、IR機能を担い、学生の学びに関するデータが集約されていた教育学習支援センターが担当しました。

 実現すべきは教育の質の保証という考えのもと、少なくとも年に1回は学生それぞれが所属する学部学科の定める教育目標と自身の学びの状況を振り返る機会を作りたいという思いがありました。学修ポートフォリオによる可視化で、学生は自身の学びの現状を示す「学修度」がいつでも確認でき、大学側は学生個々の「学修度」を集計することで、策定したポリシーに向けた取り組みが想定通りに進んでいるかを確認できると考えました。さらに、学修面以外の情報を集約し、授業を中心としつつも、勉学だけではない学生の日々の取り組みを把握することができ、学修簿や成績証明書だけでは表すことのできない、入学から卒業までの学生の足取りを示すことを究極の目標としていました。

 当初の学修ポートフォリオは、紙ベース(PDF)での運用で、Excelで各種データを計算・集約し、マクロを利用してPDF化したポートフォリオを、UNIVERSALPASSPORTを使って学生へ配布していました。また、学生自身の振り返りと次学期に向けての目標は、UNIVERSAL PASSPORTのアンケート機能を利用して収集、その結果を、先述のPDF化するポートフォリオに反映し、再度、学生へ配布していました。

 手作業でのポートフォリオ発行は即時性に欠け、学生が日々取り組んでいることに追いつけていないのは致命的と考え、学生自身が思いついたときにいつでも入力できること、また、学修ポートフォリオで得られた情報を以て、履修行動の改善を促すプロセスが紙ベースでは不完全と考えられたこと、さらにはPDF化と配付のプロセスが対象学生の拡大とともに多大な時間を要すること、これらの改善が急務と判断しシステム化に着手しました。

取り組み事例を教えてください。

 2017年度中に内部質保証体制を組み立て、そのもとで2018~2019年度にかけて各種施策を一通り実行、2019年度末を目途に、入学から卒業までの標準的なカリキュラムについてのPDCAサイクルが一巡した状態で、自己点検を実施し、2020年度の認証評価受信に必要な自己点検・評価報告書作成を行うという流れで進めました。

 本来、学生の学びの集大成として卒業研究や卒業論文、卒業制作を以て、所属する学部学科における最終の学修成果とすることが一般的と考えます。本学では、所属する学部学科や学生の履修パターンによって、これらの取り扱いが異なり、これらの履修とその評価だけで最終の学修成果を測ることが難しいと考え、カリキュラムポリシーで定めた到達目標に対する到達度を「学修度」として設定し、そのスコアを成果とするという方法で代弁できないかと考えました。

 システム化にあたっては、JASTさんに対し、これまでに記載したような紙ベースの学修ポートフォリオに込められた本学の考え方をすべて具現化することに尽力していただきました。また、各大学が学習成果の可視化に様々に取り組む現状と、システム上で一定の水準で可視化が実現できるメリットを理解していただきました。

 本学の学修ポートフォリオでは、履修と紐づけた専門教育科目、共通教育科目の学修度と、履修には紐づかないスポーツテストの結果をグラフで可視化(UNIVERSAL PASSPORTの学修ポートフォリオを利用)、その他にも学生の日々の活動の可視化として、学内実施の資格試験や、KONAN サーティフィケイトの取得状況、課外活動、社会活動といった学生の日々の取り組みを学生自身で入力(UNIVERSAL PASSPORTのマイステップ機能を利用)できるようにして運用を開始しました。

 システム化で得られるメリットを最大限支援するべく、学生自身からの入力だけでなく、大学として収集している情報は職員側で可能な限り反映し、ポートフォリオが空白の学生を極力なくすよう取り組みました。

 学生から見た学修成果の可視化だけでなく、入学年度と学生の所属カリキュラム別に学生個々の「学修度」を出力し、IRデータとして集計・可視化しています。学部や学科は、これら、成績やカリキュラム構成を通じて得られる情報や、大学IRコンソーシアムの学生調査によって得られる学生の入学後の能力の伸長についての自己評価を集計・可視化した情報を用いて、自らが策定したポリシーに向けてカリキュラムが想定通り機能しているか、複数の観点から検証する取り組みを実施しています。

 一連の取り組みは、大学基準協会の認証評価でも評価され、「学習成果の可視化に向けた取組み:学修ポートフォリオと教務システムを統合した新システムの開発」として、同協会のホームページにある「大学の長所・特色検索」において、「基準4:教育課程・学習成果」に関する取り組み事例として紹介されています。

導入の効果・今後の展望を教えてください。

 学修ポートフォリオには、学生所属のカリキュラム別の到達目標と各科目の関係性を表す情報を有していることから、教務システムとして従前より有している、学生の修得科目の状況や各科目のシラバスといった情報とあわせて、到達目標別に該当する目標を身に着けることができる科目一覧の表示、その一覧への単位修得状況の反映、シラバス表示といった機能があります。学修度のレーダーチャート表示とこれらの機能の活用で、学生が自身の学修成果と所属学部学科の教育目標を照らし合わせ、足りない能力や学びたい能力が即座に把握できることから、これまで曜日・時限や試験の有無から履修選択していた流れを、学位プログラム別の到達目標から履修選択する流れに変えることができると考えています。

 将来的には、留学やイベント参加、キャリア関係、大学IRコンソーシアムの学生調査回答結果等、大学で管理できる情報をできる限り多く反映したいと考えています。最終的には「学生に成長してもらいたい」「学生に満足してもらいたい」という目標を達成できるよう、今後も学修ポートフォリオとIRのPDCAを繰り返していきます。